~リハビリの中でよくいただく質問に回答させていただきます~

今日は「ことばの相談」やリハビリの中でよく受ける
質問にお答えしようと思います。

もうすぐ2歳になります。大人の言っていることはよくわかるのに、
おしゃべりは単語が2~3個くらい。どうして?
言葉がわかるのにしゃべらないのはなぜ?
①今は話すための言葉をためている準備段階だから。
ヒトは理解できる言葉がある程度蓄積してから話すといわれています。
お子さんがしっかりアイコンタクトをとりながら、指さし、身振り、表情でコミュニケーションを楽しんでいますか?
ままごとのごっこ遊び、ボール投げなどのやりとり遊び、絵本の読み聞かせを楽しんでいますか?
遊びの様子やコミュニケーションの様子を観察しながら様子をみましょう。

②聴く力、聴いて覚える力にやや弱さがあるから。
私たちは、周りの人が話している言葉を聞いて、覚えることで、話せるようになりました。しかし、一音一音正確に聞き取る力、聴いた言葉を覚えておくことができないとなかなか話せるようにはなりません。また「🍎(りんご)って言いたい」と思ったときに「り」「ん」「ご」の音を思い出して、正しい順番に並べることができないとやはり、なかなかおしゃべりにはつながりません。
でも、一音一音区切って伝えることはしないでください。
ゆっくり、時には音の数を積み木などで見える形にしながら、単語を伝えてあげてください。
また、お子さんの好きな事、興味を向けているものの言葉を言ってあげてもよいです。

③話す必要がないから。
たま~にこのタイプのお子さんもいます。気の利くお母さん、お姉ちゃん、お兄ちゃんがいて、なんでも先手先手でほしいものが用意されていて、自分からいう必要がない環境だと、なかなかお話しないのかもしれません。お子さんの様子をよく観察しているとってもいい家庭環境なんですけどね。たまには要求がでるまで待ってあげてもいいかもしれません。

これはお子さんがしっかり聴こえていることが前提になっています。
難聴のお子さんや言葉の発達がゆっくりなお子さんも周りの状況から推測して大人の言うことを大体理解していることがあります。

なるほど。
たしかに、指さししたり、周りの状況が理解の助けになっているかもしれないな。
ジェスチャーが上手になると、話せなくなる?

ことばよりもジェスチャーで伝えてくる。
言葉が出てこないからジェスチャーは使わせないほうがいい?
①ジェスチャーはおしゃべりを妨げるものではありません。
言葉は事物のイメージを音にして相手に伝えています。
ジェスチャーは言葉の代わりに相手にそのもののイメージを見せて伝えるという手段です。
多くの子どもは言葉出てくる前にジェスチャーや指さしを使っています。ジェスチャーは見てわかるので小さい子にとってわかりやすいのです。ことばの育ちにジェスチャーは欠かせません。
お子さんが使うだけでなく、保護者の方々もことばとジェスチャーを併せて伝えてあげましょう。
②手遊び歌で言葉を伝えましょう。
「むすんでひらいて・・・」とか「こぶたたぬききつね」など幼い子が喜ぶ手遊び歌がたくさんありますね。歌は言葉と動作が結びついている、繰り返しがある、会話より言葉の数がすくない、楽しい、と言葉を覚えるのに最適です!
③お子さんが使ってるジェスチャーを活用しましょう。

本人が今使っているジェスチャーだと、ママにしか通じない。
いっそのこと、手話とかマカトンを教えようかしら?
ご本人が使い出したジェスチャーは本人にとって、そのもののイメージを一番よく表現できているのだと思います。ですから、尊重してあげるとよいです。
『このジェスチャーは「トイレ」の意味です』などと周りの人に説明してあげるとよいです。

手話やマカトンはそのもののイメージをとてもわかりやすく表現している事もあります。お子さんがまだ表現してない事物についてはそれらを参考にしてもいいと思います。
※マカトン・・・正確にはマカトン法。コミュニケーションに困難のある人のために手話をルーツにしたコミュニケーションの指導方法。手の動きによるサインやシンボルと話しことばを同時に用いるのが特徴です。
【参考】日本マカトン協会HP https://makaton.jp
「おさかな」を「おちゃかな」と言っているのですが・・・?🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟 🐟

5歳になります。
サ行があかちゃんみたいな話し方です。
「○○でしゅ」になります。
でもちゃんと言えるときもあります。

小さいうちは皆そうではないですか。
うちの子は「おさかな」が「おたかな」みたいになっています。
サ行がタ行になっています。

お二人ともお子さんの発音をよく聞いていらっしゃいますね。お子さんの発音に聞き慣れてしまうと、気づかない場合もあるのですが・・・・。
①大まかに言って、日本語の発音が完成するのは4歳ごろと言われています。
サ行、カ行、ラ行などは難しい発音ですが、大体4歳くらいになると9割の子が正しく発音できているといわれています。(もちろん個人差はあります)
②訓練して直した方がいい発音と自然に治る発音とがあります。
☆自然に直る可能性が高い発音
・未熟構音(「おさかな」が「おちゃかな」のように赤ちゃんっぽい発音になっている)
・音の順番が違う、前後の音にひきづられている(「テレビ」が「テべビ」になっている)
・正しく言えるときもあるし、正しくないときもある
★直すのには訓練が必要なことが多い発音
・いつもカ行がタ行になっている(「サル」が「タル」になっている)
・いつもタ行がカ行になっている
・喉を詰めたような発声になっている などなど。

いつから訓練に通えばいいのですか。

訓練の内容を理解できるのは4歳くらいと言われています。
でも、お子さん一人ひとり、理解力や性格、モチベーションが違うので一概には言えません。
また、実際にお子さんの発音を聞いてみないと訓練が必要かどうかの判断もできません。ちょっと気になる、というときはお気軽に言語聴覚士に相談してください。(就学前であればお住まいの保健センターの保健師さんに問い合わせると、言葉の相談ができる場所を紹介してもらえることが多いです)
最後に
今回はことばの相談やリハビリをする中で保護者の方から寄せられる質問についてお答えしました。少しでも皆さんの疑問の解消の役に立っていればうれしいです。保護者の皆さんがお子さんと素敵なコミュニケーションをとれることを願っています。
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